
産業廃棄物は法律で 20種類 に分類されています。
すべて覚える必要はありませんが、オフィスの片付けではどれが該当するかを知っておくと、処理方法を間違えずにすみます。
ここでは20種類の概要と、オフィスで関わりやすい種類を中心にわかりやすく解説します。
産業廃棄物20種類(一覧とわかりやすい説明)
【1】燃え殻(もえがら)
焼却炉で燃やした後に残る灰。
● 主に発生する業種
- 工場(製造業)
- 病院の焼却炉
- 廃棄物処理施設
● 具体例
- ボイラーの燃え殻
- 木材焼却の灰
- 工場排出物を焼却した後の灰
※一般企業・オフィスではほぼ発生しない。
【2】汚泥(おでい)
排水を処理した際に出る泥状の廃棄物。
● 主な業種
- 工場(化学・食品・金属加工)
- ビルの浄化槽、排水処理設備
- クリーニング工場
● 具体例
- 工場排水を沈殿させて出るスラッジ
- 塗装工場の沈殿物
- ビルのグリストラップ清掃で出る汚泥
【3】廃油
使用後の油や機械油など。
● 主な業種
- 自動車整備工場
- 金属加工
- 印刷工場
- 飲食店のフライヤー油(※量により扱いが変わる)
● 具体例
- エンジンオイル・ギアオイル
- 切削油
- 印刷インキ汚れの油
- 廃食用油(飲食店)
【4】廃酸
酸性の廃液。危険物。
● 主な業種
- メッキ工場
- バッテリー工場
- 化学工場
- 研究施設
● 具体例
- 塩酸、硫酸などの使用済み酸液
- バッテリー液の廃液
- 金属洗浄後の酸性液
【5】廃アルカリ
アルカリ性の廃液。
● 主な業種
- メッキ・金属加工
- クリーニング業
- 化学工場
● 具体例
- 水酸化ナトリウムを使用した洗浄液
- クリーニング工場のアルカリ洗浄廃液
【6】廃プラスチック類
プラスチック全般が対象。オフィスで最も多い。
● 主な業種
- すべての業種
- オフィス、店舗、倉庫
● 具体例
- OA機器(プリンタ・モニタ・電話などの外装)
- プラスチック製の棚・椅子
- 梱包材・ストレッチフィルム
- 衣料品店のハンガー
- 工場のプラ部品
【7】ゴムくず
天然ゴム・合成ゴム製品の廃棄物。
● 主な業種
- 自動車整備工場
- 工場
- 体育施設
- 農業
● 具体例
- ゴムマット
- ゴムローラー
- 工場のコンベアベルト
- 車のゴムパーツ
※自動車タイヤは別扱いで産廃には含まれない。
【8】金属くず
金属製の物が壊れた・不要になったもの。
● 主な業種
- 工場(鉄工所・板金)
- オフィス
- 建設業
- 倉庫
● 具体例
- スチールデスク
- 金属ラック
- 鍋・工具
- 金属フレーム
- 機械設備の破損パーツ
【9】ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず
ガラス製品、陶器、工事で出るコンクリート片。
● 主な業種
- 店舗
- オフィス
- 建設業
- 飲食店
● 具体例
- 蛍光灯、LED管
- ガラス扉・ガラス棚
- 陶器の皿や植木鉢
- 工事で出るコンクリ破片
【10】鉱さい(こうさい)
金属を精錬する時に出るカス。
● 主な業種
- 金属精錬所
- 発電所
- セメント工場
● 具体例
- 高炉スラグ
- 炭鉱の副産物
※一般企業やオフィスでは無関係。
【11】がれき類
解体工事で発生するコンクリ・レンガ・石材など。
● 主な業種
- 解体業
- 建設業
- リフォーム業
● 具体例
- 壁のボード
- コンクリガラ
- タイル、石材
- 内装解体で出る建材
【12】ばいじん
焼却炉やボイラーに設置した集じん機に溜まる粉。
● 主な業種
- 工場
- 発電設備
- 廃棄物焼却施設
● 具体例
- 集じん機のフィルター粉
- 発電所のボイラー灰
【13】紙くず
業種によって産廃になるかどうかが変わる特殊分類。
● 産廃扱いになる業種
- 建設業
- パルプ製造
- 建材製造
- 紙加工業
● 産廃扱いにならない(一般廃棄物)
- オフィス
- 店舗
- 倉庫
- 飲食店
● 具体例
- 伝票
- 書類
- カタログ
- コピー紙
※オフィスの紙類は基本「一般廃棄物」。
【14】木くず
紙くず同様、業種によって扱いが変わる。
● 産廃扱い
- 建設業
- 木材加工業
- 家具製造業
● 一般廃棄物扱い
- オフィス
- 店舗
- 一般家庭
● 具体例
- 木製パレット
- 木製家具
- 建設現場から出る木材
【15】繊維くず
布製品・繊維製品の廃棄物。
● 主な業種
- 繊維工場
- 製造業(衣類)
- 建設業(断熱材など)
● 具体例
- カーペット
- 布製パネル
- 衣料品製造時の端材
- 建材のグラスウール
【16】動植物性残さ
食品工場・飲食店の残飯など。
● 主な業種
- 飲食店
- 食品加工工場
- 食堂
● 具体例
- 調理くず
- 仕込みの残渣
- 野菜の皮
- 食肉加工の残り
【17】動物系固形不要物
動物から出る固形の不要物。
● 主な業種
- 畜産業
- 食肉加工
- 皮革工場
● 具体例
- 骨
- 角
- 皮
- 内臓の一部
【18】動物の死体
畜産業や研究施設などで発生。
● 主な業種
- 畜産業
- ペットショップ
- 研究機関
● 具体例
- 家畜の死体
- 実験動物の死体
【19】汚染土壌・特別管理廃棄物
有害物質を含んだ土や廃棄物。
● 主な業種
- 建設業
- 解体工事
- 研究所
- 工場
● 具体例
- アスベスト含有廃材
- 重金属汚染土
- PCB含有物(古い照明器具等)
【20】特別管理産業廃棄物
毒性・感染性が高い廃棄物。厳格な管理が必要。
● 主な業種
- 医療機関
- 研究施設
- 化学工場
- 製造業
● 具体例
PCB含有部品(古いトランス、安定器)
感染性廃棄物(注射針・血液付着物)
廃水銀
特定有害物質を含む廃油
オフィス閉鎖でよく出る産廃はこの3つ!
オフィスの場合、20種類全部が関係するわけではありません。
実際にオフィス閉鎖で多いのは以下の3つです。
① 廃プラスチック類
椅子の座面・OA機器・モニタ台など。
ほぼすべての什器にプラスチックが含まれます。
② 金属くず
デスク・スチールラック・棚・パーティションなど重量物も多数。
③ ガラスくず・陶磁器くず
ガラス扉・ロッカー内のガラス棚・蛍光灯など。
つまり、一般のオフィスの片付けの場合、
ほとんどの物が「廃プラ・金属くず・ガラスくず」 のいずれかに該当します。
OA機器・家電類も産廃として回収可能
パソコン・プリンタ・ビジネスフォン・シュレッダーなども、
種類によって次のように扱われます。
OA機器 → 多くが「廃プラスチック類」「金属くず」扱い
(専門業者による処理が必要)
冷蔵庫やエアコン → 家電リサイクル対象
(リサイクル券が必要。産廃業者へ一括依頼も可能)
データ入りPC → データ消去も依頼可能
(漏洩防止のため専門対応が必須)
オフィス閉鎖時は「産廃と一般廃棄物の線引き」が重要
よくある誤解ですが、
オフィスから出るごみは全部「産業廃棄物」ではありません。
● 一般廃棄物になるもの
- 紙類(コピー紙・雑誌・書類)
- 木製家具(木製デスク・棚)
- 食べ残し・生活系ゴミ
- 段ボール
- ペットボトル・空き缶など
一般廃棄物は 市町村の許可業者 でなければ運べません。
● 産業廃棄物になるもの
- OA 機器(PC・プリンタ・複合機など)
- スチール家具
- ガラス・蛍光管
- プラスチック類
- 工事で発生した内装材
まとめ:オフィス閉鎖は「分類 + 法律 + 大量処分」の3つがポイント
大量の机・椅子・什器・OA機器を、
一般廃棄物と産業廃棄物に分けて適正処理すること
これがオフィス閉鎖で最も重要です。
産廃業者は以下をすべてまとめて対応できます。
- 分別
- 搬出作業
- 運搬
- 処理場への持ち込み
- マニフェスト発行
関連記事はこちら⇒オフィスの廃棄物、産廃扱いになるのはどこから?
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