
飲食店を経営していると、避けて通れないのが「廃油」や「グリストラップ汚泥」の処理問題です。不適切な処分は法律違反になるリスクがあるだけでなく、悪臭や排水詰まりの原因にもなります。
この記事では、飲食店で出る廃油やグリストラップ汚泥の正しい捨て方、グリストラップの役割、処理にかかる費用感、業者の選び方などをわかりやすく解説します。
グリストラップとは?その役割と構造
グリストラップの基本構造
グリストラップ(Grease Trap)は、飲食店などの厨房で発生する油脂や生ごみを下水に流さないようにするための装置です。主に以下の3つの層に分かれています:
- 第1槽(ゴミ分離槽):大きな固形物(生ゴミなど)を取り除く
- 第2槽(油脂分離槽):油分を浮かせて分離する
- 第3槽(沈殿槽):細かい浮遊物を沈殿させる
なぜグリストラップが必要?
グリストラップがないと、厨房から流れる油脂が直接下水管に流れて詰まりや悪臭の原因になります。
ひどい場合には店舗だけでなく、周辺地域の配管や下水処理にまで悪影響を及ぼします。
環境保護や近隣トラブル防止の観点からも、設置と定期的な清掃が必須です。
飲食店の廃油とは?種類と処理方法
廃油の種類
飲食店から出る廃油には以下のような種類があります:
- 使用済み食用油(フライ油など)
- 調理中に発生した油脂類(ラード、バターなど)
- 洗浄時に排出される微量な油分
廃油のNGな捨て方
- シンクに流す → 排水管詰まりの原因
- 新聞紙に吸わせて燃えるゴミに出す → 大量の場合は不適切(条例違反)
- 地面に捨てる → 土壌汚染や不法投棄で罰則対象
正しい廃油の処理方法
- 産業廃棄物処理業者に委託する
- 許可を持った業者が回収・再資源化(飼料・バイオ燃料)などに利用します。
- リサイクル団体に回収してもらう
- 自治体やリサイクル業者と提携している団体が無料で回収する場合もあります。
- ドラム缶などの専用容器で保管し、定期回収を依頼
- 飲食店は毎日油を使うため、定期回収が便利です。
グリストラップの汚泥はどう処理する?
グリストラップ清掃の頻度は?
- 浅型タイプ(小規模店):週1〜2回の清掃が推奨
- 大型タイプ(中〜大規模店):毎日+月1の専門業者による清掃
自分でやる清掃手順(簡易)
- ゴミかご内の固形物を取り除く
- 表面に浮いた油脂を網ですくい取る
- バキュームポンプなどで沈殿物を取り除く
※自力で行うのは大変&不衛生。専門業者に依頼するのが無難です。
汚泥の回収方法
グリストラップの汚泥は産業廃棄物(特管ではない)として扱われ、適切な処理許可を持った業者でないと回収できません。定期契約で回収スケジュールを立てるのが一般的です。
処理費用の相場は?
廃油回収の相場
- 回収費用:月額5,000〜15,000円程度(使用量・頻度による)
- リサイクル目的の場合:無料回収〜逆に買取してもらえることも
グリストラップ清掃・汚泥処理の相場
- スポット対応:1回あたり15,000〜30,000円程度
- 定期契約:月額10,000〜25,000円程度
業者選びのポイント
許可の有無を確認しよう
- 産業廃棄物収集運搬業の許可を持っているか?
- 油脂回収や清掃の実績が豊富か?
回収スケジュールの柔軟性
- 営業時間外に来てくれるか
- 定期とスポット、両方対応できるか
サービス対応地域
- 自店舗の地域に対応している業者か確認(例:埼玉県鴻巣市 など)
契約内容を明確に
- 作業内容・費用・回収頻度を事前に書面で確認する
適正処理は信頼とリピーターに繋がる
飲食店のゴミ・油の処理を適正に行うことは、店舗の衛生管理の基本です。不適切な処分で営業停止や罰則を受けては、長年培ってきた信頼を失いかねません。逆に、しっかり対応していれば、近隣やお客様にも安心感を与えることができ、リピートや口コミにも繋がります。
まとめ
- 廃油やグリストラップ汚泥は産業廃棄物として適正に処理する必要があります。
- 自分で処理するには限界があるため、許可業者に委託するのが最も安全。
- 処理費用は月額で見ればそこまで高額ではなく、トラブル防止の保険とも言えます。
- 業者選びは「許可の有無」「柔軟な対応」「明確な契約」がポイント。
飲食店を長く続けるためにも、日々の衛生管理の一環として廃油・グリストラップの処理を見直してみてください。